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* 重き代償 第4夜 *

「……ん……ぁ……っ……」
 リリアナの口内を深く淫靡に犯すロイフェルドの舌に彼女の口からは堪えられない声が漏れる。
 ケルウェスとも唇同士を付ける程度のキスしかしてこなかったリリアナは、何もかもが初めてでどうしていいのかさえ分からない。ただ、ロイフェルドが誘うままにその身を任せるだけだ。
 それさえ、リリアナにとっては至難のことだった。
(これで復讐が果たせる……)
(我慢さえすれば、全ては叶う……)
 何度も何度も自分にそう言い聞かせて、リリアナは逃げ出したい衝動を抑えながらロイフェルドの舌に自分のそれをぎこちなく絡ませた。
 ロイフェルドはそんなリリアナなどお構いなしに、女官服のボタンに手を掛け、器用に脱がしていく。
 やがて彼の唇はリリアナのそれを離れ、首筋、鎖骨をなぞり露わになった胸元まで降りていく。
 胸元にキスを落とされたリリアナは思わず悲鳴を上げそうになったが寸前のところで口元に手を当て、それを堪えた。
「怖がるな。酷いことをするつもりはない」
 ロイフェルドはリリアナの胸元から顔を上げると、彼女の手を口元から外させた。
 そして再び愛撫を始める。
 そのまま、ロイフェルドは手際よくリリアナの体からコルセットも女官服も剥ぎ取り、彼女の白く柔らかい肌を露わにさせる。
「綺麗だ……」
 呟くように言ったその言葉は単なるお世辞ではなく、ロイフェルドの本音だった。
 ランプの淡い光で浮かび上がるリリアナの肌色は美しく、それは羞恥でわずかに赤らんでいるようだった。そして、ほどよく膨らんだ胸の頂にはまだ浸食を知らない綺麗なピンク色をした実がある。
 ロイフェルドはこれまでそれなりに女を相手にしてきたが、そのうちの誰よりも今目の前にいるリリアナが綺麗だと思った。
 そのまま吸い寄せられるようにロイフェルドはリリアナの胸に手を伸ばす。
「あ……っ」
 初めての感覚にリリアナは思わず声を上げた。
 それをまた手で塞ごうとしたが今度はならない。リリアナの両手は意図も容易くロイフェルドに一括りにされ、頭上で留め置かれてしまったのだ。
「声を出せ。ここには俺たち以外誰もいない」
 ロイフェルドはそう言ってリリアナの左胸を揉みしだき、頂の実をピンと弾いた。
「い、やぁ……」
 リリアナはピクリとその体を震わせる。
「敏感だな。まだ少し触れただけだぞ」
 言いながらロイフェルドは同じ実を捏ね回した。その刺激に反応し、実はどんどん堅さを増していく。
「ん……ふぅ……クラヴィ……アーナさん……」
「ロイド……と、二人だけの時はそう呼べ。いいな、リリアナ?」
「……ロイ、ド?」
 リリアナが途切れる声でそう復唱した瞬間、ロイフェルドは左胸の頂を摘み、同時に右胸のそれを口に含んだ。
「あぁ……んッ!!」
 突然襲った生暖かく湿った感覚に、リリアナの声は高く上がった。
 ロイフェルドはまるでその反応をおもしろがるように、左右順番にその頂を丁寧に舐め回す。
時折ロイフェルドの口元から漏れ出る淫靡な水音に、リリアナはゾクリと身を震わせて鳥肌を立てた。
「……ぁン……やぁ……だめッ……い……やぁ……」
 無意識に抵抗を試みようと手が動くが、ロイフェルドはそれを許さない。
 リリアナは今、未知なる恐怖の中にいた。
 性について彼女は多くを知らない。子の成し方も、男女の交わりも、そのような事は誰も教えてくれなかったし、全ては結婚した後旦那様に任せればいい、とこれまでずっと教えられてきた。
 時折、既婚の女官がおもしろがって未婚の女官たちを相手に猥談を繰り広げていたが、リリアナがそれを聞くことはなかった。興味がなかったと言えば嘘になる。ただ、貞淑であることを美徳として育てられた彼女は羞恥心と背徳感が先立ってしまって聞くことができなかったのだ。
 だから、リリアナは今自分の置かれている状況を理解することもできなければ、これから先を予測することもできない。
 しかし、聞いていたところで理解も予測も不可能だったのかも知れない、とリリアナは思った。
 彼女たちが話すのはあくまでも愛する相手に身を任せた時のこと。幸せの絶頂に身を置いた時のこと。このように、身を堕とし、不幸のどん底で好きでもない相手と交わることなど誰も話してはいなかったから。
 リリアナがそんな思案を巡らせている時、ロイフェルドは彼女の大腿にスッとその手を伸ばした。
 内股を撫で上げられ、抵抗する間もなく骨張ったその指がリリアナの中心をなぞる。
「ひ……ぁ……!!」
 初めて得た衝撃とも言える感覚に、リリアナはその思考を止めて体をビクリと震わせた。
「濡れてないな」
 ロイフェルドはそう言うと、有無を言わせずにリリアナの足を大きく広げる。
「や……クラヴィアーナさん……何を……」
「ロイド、と教えただろう?」
 ロイフェルドは答えにもならない返事をすると、少しの躊躇もなくリリアナの中心に口づけた。
「いやぁッ……ん……!!」
 あり得ないところに感じた舌の感覚に、リリアナは高い声で啼いた。まさかそんなところを舐められるなど、思ってもみなかった。
 なんとか逃げようとリリアナは身を捩ったが、ロイフェルドは腰をがっちりと掴んで離してはくれない。
「ジッとしていろ。濡れなくて辛い思いをするのはお前だ」
「……ッ」
 ロイフェルドが喋るとリリアナの敏感な部分に息が掛かり、溜まらずに彼女は息を呑んだ。
 そんなリリアナを垣間見ながら、ロイフェルドはリリアナの中心をゆっくりと丁寧に舐め上げる。
 やがてピチャピチャという淫らな水音が辺りを支配し始め、リリアナはそれが自分から出ていると思うと恐ろしいほどの羞恥に襲われて目をギュッと閉じた。ついでに耳も塞いでしまいたかったが、両手はその声を押しつぶすため口を塞ぐのに精一杯である。
 リリアナはとにかく無心になるよう努め、
(これで復讐が果たせる……)
(我慢さえすれば、全ては叶う……)
 と、まじないのように何度も何度も繰り返していた。
 それからどのくらいたったのか、ロイフェルドがその舌でリリアナの最も敏感な蕾を弄び始めた頃、彼女の内からは徐々に熱いものが溢れ出した。そして、その思考は完全に甘い快楽に浸食されていた。
 がちがちに固めていた体からわずかに力が抜けたのを確認したロイフェルドは、敏感な蕾への刺激をさらに激しくし、その節くれ立った指を一本、リリアナの中心に一気に突き立てた。
「ンぁッッ!!」
 突然の痛みと異物感に、リリアナは今までの快感が嘘のように叫び声を上げた。そして、その瞳からは生理的な涙を一筋こぼす。
「やはり、狭いな」
 今までに何物も受け入れたことのないそこは、信じられないほど狭く、そして熱かった。
 ロイフェルドはゆっくりと探るように内壁を撫で始める。
 元々刺激を与えていたせいか内部の滑りは思ったよりも良い。
 それからあまり時間が掛からずに、リリアナの口からは堪えきれない嬌声が零れ始めた。
「あ……ふぅ……ん……ンぁ……」
 熱いものが次から次へと彼女の内から流れ出す。それはシーツに淫靡なシミを作るほどに。
「ひぅ……ンん、や……あぁぁっ、はぅ……うぅ……ぁん……」
 声を抑えていたリリアナの手はいつの間にか力を失って外れ、声は次第に激しくなる。
「はぁ……ん……く、ふぁ、うぅ……あぁぁ、ひぁ、あン……」
 彼女はそんな自分に羞恥を感じながらも、次々に迫り来る未経験の快感に我慢をすることができなかった。
 好きでもない男の前で足を開き、良いようにされ、なんと無様な姿だと思うが本能が快楽を貪欲に求める。
 そんな彼女の様子を静観していたロイフェルドは、内壁を撫でる指の動きを早め、親指で敏感な蕾を捏ねた。
 瞬間、
「あぁぁぁんッッッ!!!!」
 今日一番に啼いたリリアナの背中が、折れてしまいそうなほどに反り返った。

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